こんにちは、ものずきです。
本ブログにお越しくださりありがとうございます。
今回は、万年筆で使用する「コンバーター」についてお話しします。
【コンバーター】
カートリッジとコンバーターに対応している「両用式」の万年筆で使えるインク吸入器です。
カートリッジの代わりに万年筆に挿し込み、ボトルからインクを吸い上げます。
コンバーターのサイズや形状にはいろいろ種類があります。
違うもの、合わないものを選んでしまうと「うわー、挿し込めない…」「挿し込めたけど、ゆるゆる…」、場合によっては「インクが漏れてきた…」ということになりかねません。
ここでは、これから万年筆を使ってみようかなという方、使い始めて間もない方に向けて、コンバーターの規格やポイントについて書いています。
この記事を読み終えると、基本的なことが分かるようになりますよ。ぜひ参考にしてください。
*メーカー・ブランド名は敬称略にて失礼いたします。
「独自規格」「欧州共通規格」
「独自規格」
「欧州共通規格」
コンバーターの規格は大きく2つのグループに分けることができます。
まず、それぞれを説明していきますね。
独自規格
「独自規格」は、その万年筆メーカー特有のサイズ・形状でコンバーターがつくられています。
自社で製造する万年筆に合わせた規格なので、他メーカーの万年筆にはほとんどの場合使用できません。
以下が独自規格のメーカーになります。
例えば、日本の三大万年筆メーカー「セーラー」「パイロット」「プラチナ」は、すべて独自規格です。
したがって、
セーラーの万年筆「ハイエースネオ」「プロフィットJr」にパイロットのコンバータ―は使用できません。
また、パイロットの万年筆「カクノ」「ライティブ」「コクーン」に、プラチナのコンバータ―は使用できません。
さらに、プラチナの万年筆「プレピー」「プレジール」「プロシオン」に、セーラーやペリカンのコンバーターも使用できません。
「セーラー」の万年筆には「セーラー」のコンバータ―を!
「パイロット」の万年筆には「パイロット」を!
「プラチナ」の万年筆には「プラチナ」を!
海外メーカーである「アウロラ」「クロス」「シェーファー」、そして「パーカー」「ラミー」も同様です。
独自規格メーカーの万年筆を使用する際は、そのメーカーのコンバータ―(純正品)を選んでください。
欧州共通規格
【呼び方について】
「ヨーロッパ共通規格」「ヨーロッパタイプ」「ヨーロッパ標準」「欧州統一規格」「国際標準」…
いろいろな呼び方があります。どれも同じ意味合いで使われています。
ここでは「欧州共通規格」と書きますね。
「欧州共通規格」は、ヨーロッパを中心に多くの万年筆メーカーが採用している規格です。
「オートの万年筆」に、「ペリカンのコンバーター」を試してみたり。
「ミドリのMD万年筆」に、「エルバンのコンバーター」を使ってみたり。
「欧州共通規格」間であれば、メーカーの枠を超えて使用することが可能です。
コンバーターを発売してないメーカーもあります。その場合は、欧州共通規格を採用している他社のコンバーターから合うものを探すことができます。
また、メーカーの純正コンバーターが少し高価な場合や消耗して買い替える際、他社の手頃な価格のもので代用することもできます。
しかし、「欧州共通規格だったらどれでも合うよ!使えるよ!」という訳ではありません。
よく言われる「互換性がある・ない」といった点です。
【互換性(ごかんせい)】
他と互いに交換できる性質。 互いに取りかえのきく性質。
「A社の万年筆」は欧州共通規格採用。A社の純正コンバーターだけでなく、B社やC社のものも使用出来る。
➡「互換性がある!」
「D社の万年筆」は欧州共通規格とされているのに、A社のコンバータ―は合わない…
➡「互換性がない…」
「欧州共通規格」と表記があっても、ほんのわずかなサイズや形状の違いによって、
・挿し込めない
・挿入しても抜けてしまう
・インクが漏れる
など、せっかく購入したコンバーターが、所有している万年筆に合わないことも起こります。
欧州共通規格の互換性について、わかったことは発信していきますね。
9つのタイプ
ここまで「独自規格」と「欧州共通規格」に大きく2つのグループに分けて書いてきました。
「独自規格」
・国内外の8メーカーが独自の規格。
・使用できるのは純正品だけで、他のメーカーとの互換性がない。
・欧州共通規格のメーカーにも合わない。
「欧州共通規格」
・多くのメーカーで採用されている。
・メーカーの枠を超えて、一定の互換性がある。
・独自規格のメーカーには合わない。
そこで、メーカーの規格を「9つのタイプ」にまとめました。
次は、「独自規格」と「欧州共通規格」のコンバーターを紹介していきます。
サイズや形状などを参考にしてください。
独自規格のコンバーター
SAILOR セーラー
万年筆用インク吸入器コンバーター
写真のものを含め、つまみの部分が全10色あります。使うインクや万年筆とカラーコーディネートできます。
□サイズ|69mm×7.5mm(公式)
□重さ|2.8g(公式)
□インクの容量|0.4~0.5mL(推定)
□吸入方式|回転式
□備考|分解可能
万年筆用インク吸入器コンバーターミニ
プロフェッショナルギアスリムミニ、プロフェッショナルギアミニなどに使える短めのコンバーターです。
(*写真|奥は通常サイズ)
□サイズ|54.5mm×7.5mm(公式)
□重さ|2.7g(公式)
□インクの容量|約0.3mL(公式)
□吸入方式|回転式
□備考|分解可能
PILOT パイロット
コンバーター40|CON-40
「カクノ」「ライティブ」「コクーン」・・・
現行のパイロット製品で使用可能なコンバーターです。
□サイズ|約59.5mm×7mm
□重さ|約1.5g
□インクの容量|約0.4mL(公式)
□吸入方式|回転式
コンバーター70|CON-70N
コンバーターの中でも大容量「約1.1mL」。黒い部分を繰り返しノックすることでインクを吸入していきます。
「ペン習字ペン」「デスクペン」「コクーン」「カヴァリエ」「エリート95S」「キャップレスシリーズ」など、軸に収まらないものもあります。
□サイズ|約79mm×8.8mm
□重さ|約4.4g
□インクの容量|約1.1mL(公式)
□吸入方式|プッシュ式
PLATINUM プラチナ
コンバーター700A(シルバー)
コンバーター800A(ゴールド)
□サイズ|65mm×7.5mm(公式)
□重さ|3.8g(公式)
□インクの容量|0.53mL(公式)
□吸入方式|回転式
□備考|分解可能
「コンバーター700A・800A」は、価格とメッキの色が違うだけ。サイズや使い方、インクの容量は同じです。
【参考】PQR-300
全体は樹脂製。中にインクを攪拌するためのボールが入っています。
□サイズ|およそ71mm×6mm
□重さ|3.8g(公式)
□容量|0.4mL未満
□方式|スライド式
□装着して使ったことがある万年筆
・プラチナ「プレピー」
・プラチナ「プレジール」
・プラチナ「デスクペン」
・コクヨ「プレピーペルパネプ」
・無印良品「ポリカーボネイト万年筆」
など
「プレピー」や「プレジール」などを複数本持っていて、いろいろなボトルインクをたのしみたい方に!
コンバーターの使用について
「プレピー」や「プレジール」万年筆にコンバーターを使うと、コンバーターの挿し込み口が少し広がります。
これは、ペンの首軸内にある「ヤリ」と呼ばれる部分(カートリッジやコンバーターを挿し込む突起)の径が、プレピーやプレジールは、少し太めだからです。
そのため、プレピーやプレジールで使っていたコンバーターを、プラチナの「プロシオン」や「#3776センチュリー」などに転用した場合、コンバーターが挿し込めない、ゆるいなどの支障が出ます。
一度プレピーやプレジールで使ったコンバーターは、同じ規格を持つ万年筆間で使用することをおすすめします。
以下の万年筆間であれば大丈夫です。
・プラチナ「プレピー」
・プラチナ「プレジール」
・プラチナ「デスクペン」
・コクヨ「プレピーペルパネプ」
・無印良品「ポリカーボネイト万年筆」
AURORA アウロラ
□商品番号|NO.158-C
□サイズ|およそ76.5mm×8mm
□重さ|約2.7g
□インクの容量|およそ0.6mL(推定)
□吸入方式|回転式
□備考|分解可能
CROSS クロス
□商品番号|8751
□サイズ|およそ78.5mm×8mm
□重さ|約2.3g
□インクの容量|およそ0.5~0.6mL(推定)
□吸入方式|回転式
□備考|分解可能
SHEAFFER シェーファー
□商品番号|96700
□サイズ|およそ67.5mm×8mm
□重さ|約3.9g
□インクの容量|およそ0.6mL(推定)
□吸入方式|回転式
PARKER パーカー
コンバーターS
□商品番号|S0102040
□サイズ|およそ74mm×7.5mm
□重さ|約1.8g
□インクの容量|およそ0.5mL(推定)
□吸入方式|スライド(ピストン)式
コンバーターD(シルバータイプ)
□商品番号|S1168510
□サイズ|およそ72.5mm×7mm
□重さ|約2.6g
□インクの容量|およそ0.6mL(推定)
□吸入方式|回転式
*写真のほかに、金属部分の色が違う「ゴールドタイプ」もあります。
LAMY ラミー
LZ28
□サイズ|およそ71mm×7.7mm
□重さ|約2.2g
□インクの容量|およそ0.7~0.8mL(推定)
□吸入方式|回転式
□適合する万年筆|abc、nexx、サファリ、joy、アルスター、Lx
LZ27
□サイズ|およそ71mm×7.7mm
□重さ|約2.2g
□インクの容量|およそ0.7~0.8mL(推定)
□吸入方式|回転式
欧州共通規格のコンバーター
欧州共通規格を採用するメーカーは多数あります。一部になりますが紹介していきます。
互換性に関わるポイントも少しだけ触れていきます。
SCHMIDT シュミット 「コンバーターK1」
「とりあえず、シュミットK1で!」
私自身、欧州共通規格の万年筆を入手した時は、まずこれを挿し込みます。
適合しやすいコンバーターのひとつです。
□サイズ|およそ75mm×7.5mm
□重さ|約1.7g
□インクの容量|およそ0.7~0.8mL(推定)
□吸入方式|回転式
MIDORI ミドリ「MD万年筆用38124006」
MD万年筆用コンバーターは「ドイツ(シュミット社)製」を採用。先ほどの「コンバーターK1」と同型です。
通信販売ではなく文房具店などに足を運んで購入する場合、この「MD万年筆用コンバーター」のほうが在庫がある可能性が高いかもしれません。
□サイズ|およそ75mm×7.5mm
□重さ|約1.7g
□インクの容量|およそ0.7~0.8mL(推定)
□吸入方式|回転式
Schneider シュナイダー「BS166106」
「シュミットK1」よりボディーの透明感があります。
□サイズ|72.5mm×7.5mm
□重さ|約1.5g
□インクの容量|およそ0.7~0.8mL(推定)
□吸入方式|回転式
Pelikan ペリカン
定番かつ定評あるコンバータ―!
分解して、洗浄・メンテナンスもできます。
□サイズ|およそ75mm×8mm
□重さ|約2.4g
□インクの容量|およそ0.7~0.8mL(推定)
□吸入方式|回転式
□備考|分解可能
ナカバヤシPENFORT万年筆専用「TR-CONVERTER-1」
個体差なのかもしれませんが、「シュミット」「ミドリ」「ペリカン」「シュナイダー」などのコンバータ―に比べると、挿し込み口の内径がほんの少し小さい感じです。
万年筆に取り付ける際は、しっかり押し込む必要がある場合も。逆に挿し込んだらがっちり固定という感じです。
□サイズ|およそ70mm×7.5mm
□重さ|約2.3g
□インクの容量|およそ0.6~0.7mL(推定)
□吸入方式|回転式
□備考|分解可能
Kaweco カヴェコ
ミニコンバーター
カヴェコの万年筆「スポーツシリーズ」専用のミニサイズです。
□サイズ|33~53×7mm
□重さ|約1.7g
□インクの容量|およそ0.3~0.4mL(推定)
□吸入方式|ピストン式
10001955
□サイズ|およそ75mm×7.5mm
□重さ|約2.5g
□インクの容量|およそ0.7~0.8mL(推定)
□吸入方式|回転式
J.HERBIN エルバン「hb22200」
エルバンの「コンバーター付万年筆・コンバーター付ボールペン」に用いられているものです。
挿し込み口の内径がわずかに大きめです。
他社の万年筆に使用する場合、挿し込み具合がゆるい、抜けてしまう、などもあります。
□サイズ|およそ69.5mm×7mm
□重さ|約2.2g
□インクの容量|およそ0.5mL(推定)
□吸入方式|回転式
□備考|分解可能
WATERMAN ウォーターマン
S0112881
先ほどの「エルバン」同様、挿し込み口の内径がわずかに大きめです。
他社の万年筆に使用する場合、挿し込み具合がゆるい、抜けてしまう、なども…
ウォーターマンのコンバーターはウォーターマンの万年筆で使おう!ぐらいの感覚でよいかもしれません。
□サイズ|およそ72mm×7mm
□重さ|約2.6g
□インクの容量|およそ0.7~0.8mL(推定)
□吸入方式|回転式
S2272510
挿し込み口付近にメタルバンドがついています。その他の部分は、先ほどのものと同じです。
□サイズ|およそ72mm×7mm
□重さ|約2.8g
□インクの容量|およそ0.7~0.8mL(推定)
□吸入方式|回転式
寺西化学工業「ギター万年筆専用コンバーター」
□商品番号|GFPN-CNV
□サイズ|およそ70mm/直径7.5mm
□重さ|およそ2.6g(満水時3.1g)
□容量|およそ0.4~0.5mL(推定)
□方式|回転吸入式
□備考|分解可能
インクを攪拌するためのスプリングが入っています。
規格は「ヨーロッパ共通規格」の分類ですが、中国メーカー・中国製造の万年筆向きです。
欧米系メーカーの万年筆で使用する際は、相性がよくない場合が多いので注意が必要です。
10個入り 万年筆用インク供給容器
□サイズ|およそ65mm/直径7.5mm
□重さ|およそ1.2g(満水時1.8g)
□容量|およそ0.5~0.6mL(推定)
□方式|回転吸入式
□備考|分解可能
10個で500円程度というお値段。インクを攪拌するための樹脂製ボールが入っています。
規格としては、中国メーカー・中国製造の万年筆に向いています。
寺西化学工業「ギター万年筆」や、日本出版販売「フォンテ」などで使用できました。
無印良品「アルミ丸軸」、オート「セルサス」、ペリカン「ペリカーノJr.」などの万年筆には適合しませんでした。
まとめ
今回は、これから万年筆を使おうという方、使い始めて間もない方に向けて、コンバーターの規格やポイントについてお伝えしました。
最後におさらいをします。
独自規格
●その万年筆メーカー特有の形状・サイズでコンバーターがつくられている。
●自社の規格に合わせてつくっているので、他のメーカーとの互換性はほとんどない。
●独自規格メーカーの万年筆には、そのメーカーの純正コンバーターを選ぶ。
欧州共通規格
●ヨーロッパを中心に多くの万年筆メーカーが採用している規格。
●共通規格を採用しているメーカー間では、一定の互換性がある。
●ただし、どれでも合うという訳ではない。
セー パイ プラ アウ
クロ シェー パー ラ
ソレイガイナラ
ヨーロッパ(かもよ!)
この「9つのタイプ」だけでも覚えておくと、コンバーターを選ぶときの目安になります。
サイズや形状などは、本記事の画像を参考してください。
「欧州共通規格」間の互換性について、わかったことは本ブログでも発信していきますね。
以上です。
最後までお読みくださり
ありがとうございます。